「あ、いた! 高遠ちょっと!」
3階から2階に降りると、トイレ周りの清掃をしていたミヤテンに呼び止められる。
「なんかハンドソープも足りなかったんだけど、トイレットペーパーも足りないことが判明したー」
「えっ、なんで! 4ロールずつ補充できるように用意されてたでしょ?」
「探したけどなくてさー。たぶん、元々どっかの分が用意されてなかったっぽい。男女共に3ロールずつ足りない」
「あー……分かった。余分に残ってると思うから、探してくるよ。最悪用意できなくても学校側のミスだし、報告すれば大丈夫。あと補充するだけ?」
「うん。俺も行く。取ってくるわー!」
ミヤテンは廊下で固まっていたクラスメイトに声をかけ、私と一緒にトイレットペーパーを探しに行くことになった。
ひとまず3年生に回って聞くと2ロール確保できたので、1年生の階にも赴く。まだまだ校内は賑わっているけれど、1年生もあとはチェック待ちのクラスが多そうだった。
各学年2カ所にトイレがあるので、ミヤテンは男子、私は女子のほうを訪ねる。
「こんにちはー。ちょっといいかな? 2年の階トイレットペーパー足りなくてさ、余ってたりしない?」
「バンビ先輩……!?」と騒がれたりするだけで、結局目的のものは確保できなかった。
仕方ない。もう1カ所のほうを確認して、さっさと戻ろう。校内全体じゃ鉢合わせる確率は低いけど、1年生の階と考えると、ぐっと確率が上がりそう。



