野球部やサッカー部、陸上部がひしめくグラウンドに出ると、端っこのほうで固まる男子ハンドボール部を見つけた。その中に、探さずとも目印になる髪色がひとり。
片付け始めてるし、もうあがりっぽいな。
「バーンビ先っ輩! どこ行ってたんすか俺マジで寂しかったんすけどー!」
ハンドボール部のほうへ向かっていると、体育倉庫側からバクが駆け寄ってきた。
「両手広げるバク気持ち悪い」
「日に日に切り返すの早くなって俺、嬉しいっす」
「虎鉄と一緒じゃなかったんだね。何部手伝ってたの?」
「テニス部と陸上部っすねー。クソほど扱き使われたんで練習相手もしてやったら帰宅部の俺、勝っちゃいました」
バクのてへぺろを初めて見た気持ち悪さは置いといて、高総体前の選手相手に何をやってくれちゃってるの。
バクに負けたなんて暫く立ち直れない気がする。
言ったら悦ぶし、スルーしても鬱陶しいし、バクの扱いってほんと面倒くさい。
「そのゴミを見るような目、快感っすわー。ま、俺は無関心のほうが燃えるけど。何考えてるか分かんないのも、屈服させ甲斐があっていいっすよねー」
「遊び相手が欲しいなら1年A組出席番号1番から声掛ければ」
お望み通りさくっと切り返したというのに黙られて、バクを見れば微笑まれていた。
「何考えてるか分かんない系女子」
指を差されたのは、ハンド部の女子マネージャーだった。



