「止めてやれなくて悪かったな」

「何や急に、気持ちわりぃな。トラのせいじゃねーべ。むしろバクぶっ飛ばすって思ってたけど、よく考えたら停学っつってもコレ、バンビ先輩を守った証だべ? そう考えたら……うっほぉおおおやべえ興奮する!!」


そうかよ、めでたい頭だな。


バクもバクで『つまんねえ』って顔してんじゃねえよ。


「それよりあの李堵って奴、うちが停学中、ほんっとーにバンビ先輩にちょっかい出してなかっただろーな」

「見掛けてすらいねえよ。しつけーな、お前も」

「トラもバクも常に一緒にいたわけじゃねえべ!? あーっなしてあと1年早く産んでくれなかったんだ母ちゃんのバカ!」

「きゅうのバンビ先輩への愛、重いわー」


本当にな。あと数か月遅く生まれてくれりゃあ良かったものを、よりによってバク家の近所に産まれやがって。疫病神コンビが。


「そーいや今日の活動、オリガク周辺のゴミ拾いだと」

「はあ? あー……そういや周辺の美化も入ってたな」


帰れるわけでもねえのに校外周辺の清掃とか、だるすぎ。


「お前ら、ちゃんとバンビ先輩を警護しろよ……?」


きゅうを見れば、悪寒がするほど顔に影を落としていた。


「校外なんて変な奴ウジャウジャいるんだからな! こんなに可愛い妖精だぞ!? 捕まえて飼育したい……!って考える奴がいると思って警護にあたれ! いいな!?」


スキャンしたのか、きゅうは私服姿のバンビ先輩が映るタブレットをバンバン叩く。