「各々適当に解散ってことで」

「あー。じゃあ、それで。バクてめえ、三井先輩にまで迷惑かけんなよ」

「手ぇ焼かせてんのはお前だっつーの。俺はミーア先輩になくてはならない存在かつ相棒、ってハイ無視ー」


席を立った虎鉄に続く他ない私は、ミーアへ向けた目に角を立てた。


「今日の夜、鬼電するから」


先程のメールや情報誌のことなど、策略的な行動に意義を申し立てる。無視しようと何回でも電話をかけまくる。


そう伝えたつもりが、何を思ったかミーアは余裕たっぷりの笑みを見せた。


「嬉しい。待ってる」


キィイイイ!!って叫びたい。ひとりだったら叫んでいた。


ミーアのバカ! 違うんだから! ていうかこんなことになったのも、虎鉄が余計なことばっかり言うからだ!


「……、なんすか」


しぶしぶ虎鉄の隣を歩いていると、視線を感じたのか尋ねられた。


「虎鉄のせいで散々な目にあった。辱められた」

「はあ? ……よく分かんねえけど、見上げるのやめてもらっていいすか」

「見上げてるんじゃなくて睨みつけてるんですぅ」

「いやだから、その元から潤んだ目で睨まれても困るっつーか……俺にもぶっ飛ぶ理性ってもんがあるんで」

「はい……?」


私の視線を遮りたいのか、その気持ちの表れなのか。右手の甲で左頬を隠した虎鉄に、目を見張る。


「なんで赤くなってるの!?」

「赤くなってねーし。照れてるんすよ」

「どっちでも同じじゃん! なんで照れるのよ!」


後ずさると、虎鉄は気恥ずかしそうに首筋を掻き、「なんでって、」と言葉を探している。