「送ってもらえば? 遠慮するほどの距離でもないし、ひとりで帰るより安全だし。トラの言う通り、何もなければ杞憂だったねで安心できるんだから。有難いことでしょ」
「ミーア……」
期待してたな?
虎鉄は送るって言い出すだろう、って。だからわざわざ虎鉄も見れるように情報誌を持ってきたわけね!?
ぷるぷる震える私が虎鉄の前では怒れないと踏んでか、ミーアはにやにやと楽しんでいる。
「トラが送るなら、俺も送っていいってことになんね?」
「はあ? お前はダメに決まってんべや」
「あーやだやだ。バンビ先輩、こんな独占欲丸出しの奴に護衛させるんすか? 逆に危ないっすよ。送りトラ確定」
「送りトラってなんだ」
「送りオオカミのごとく、家に送ってそのままバンビ先輩をぺろりといただくお前のことだよ。このエロトラめ」
……無言タイムに突入しちゃったんですが。
互いに眉を顰め合う虎鉄とバクが、ふたりだけで話してるならいい。どうぞご勝手に続けてください。
でも私は、ばっちりふたりの会話が聞こえる距離にいる。つまりバクが言ったことを理解した虎鉄が眉間のしわを解き、私に視線を戻すことは決定していた。
「まあ……食っていいなら、いただくっす」
予想はしていたけれど、あまりに正直すぎて。
「バカじゃないの!?」
そう跳ね付け、目を逸らした。



