本当は自分が載るページを破り捨てたいけど、そこらじゅうに置かれて、誰でも持ち帰ることができるフリーペーパーだよ。キリがない。
それでも溜め息をこぼすくらいは見逃してほしいのに。
「また変な輩が沸きそうっすね」
虎鉄は〝フェアリー系女子〟なんて書かれている私が載るページを眺め、予言する。
そりゃあね。何しろ私フェアリー系らしいからね。よりによって妖精。めずらしいなんてもんじゃないわよ。
捕縛されて標本にでもされたらどうしてくれる。
「変態に待ち伏せでもされたらどうするんすか」
「……変態ならまだマシだけど、」
「ちょっ、なして俺を見るんすか!」
バクレベルならまだマシ。異常な人に待ち伏せされたら困る。どっちにしたって回避したいけど。
「まあなんとかしてかわすよ。変態には慣れてるし。撮っていい、載せていい、って了承したのも私だからね」
「自業自得だもんね」
「せめて心配するそぶりだけでも見せてミーア!」
「無関心じゃないから、忘れてるだろうと思ってわざわざ持ってきてあげたんでしょ~。感謝してよね」
どうして素直に、しばらくは危機感を持って行動しなさいって言えないの。
「先輩。今日からしばらく、家まで送るっす」
ミーアの曲がった優しさに文句を垂れつつ甘えていると、情報誌を閉じた虎鉄が何食わぬ顔で言った。



