髪をシルバーアッシュに染めたのは気まぐれで、染め直すのが面倒でしくじったと思っているだとか。それまでは黒髪で今より長くて、制服もブレザーだったらしく、見たいと言ったら嫌がられた。
「なんか俺ばっか答えてるんすけど」
「手持無沙汰だから口が動くのよ」
飲みきったジュースのカップを揺らす。すると虎鉄が視線を動かし、倣えばミーアとバクが戻ってきていた。
「じゃーん! 最新号発見!」
と、バクが見せてきたものは。
「なんだそれ。フリーペーパー?」
コンビニや駅構内、商業施設のどこかしらに置かれている、月一発刊の地元情報誌だった。
「いやあ、すげーの見つけちゃってさー」
バクは情報誌をめくりながら虎鉄の横に腰掛け、フルフルのキウイジュースを持ったミーアは私の隣に座る。
「飲む?」
「少しちょうだい」
「ほら! まるっと1頁バンビ先輩!」
吹き出すかと思ったキウイジュースを間一髪で飲み込み、情報誌を覗くために慌てて立ち上がる。
「なんで私が……っ!」
テーブルの上で開かれた情報誌には、確かに私服姿の私が載っていた。全身が映るように、まるっと1頁。次の頁に載っている人たちも全身だけれど、1頁を4人分にレイアウトされていた。
地元情報誌は毎号、街で見つけたおしゃれな男女の写真が3頁にわたって紹介されている。
くらりと目眩が起きたまま、テーブルに伏せた。



