「気晴らしに遊びに行けばいいじゃないっすか」
じゃあ、って。なんで私を疲れさせる張本人と遊ばなきゃいけないのよ。お詫びとして誘ってる? それなら付き合ってあげなくもないけど。
「先約がある。ミーアがいいって言わないと、」
「ぶっは! 何言ってんすかバンビせんぱぁ~い。ミーア先輩がダメなんて言うわけないっすよ」
ぎくりとした私から離れた虎鉄は、バクに見向く。
「嘘じゃねーよ? 『べつにいいけど』って興味なさげに、内心『キタコレ』って楽しんでるっての」
くっ……! バクのやつミーアのことめちゃくちゃ理解してる! 知り合って間もないくせに!
「バンビ先輩だって分かってるくせに、なんすか? 『素直にいいよって言えないわけじゃないからっ。焦らしてるだけだもん!』とかいう、ツンデレ作戦っすか? ハイ失敗! 全ては俺の手の平の上ぇえええい!」
ほんっっと腹立つ!! こいつ何言ってんだ?って顔の虎鉄も、それはそれで腹立つ!
「よく分かんねえけど、OKってことっすよね? 放課後ここで待ってるんで」
「う……ぬぅ……ふん」
「は?」
「分かったって言ったのよ!」
「いや言ってねえべ。何怒ってんすか」
「あの失礼極まりないバクを放課後までに躾けときなさいよっ」
「はあ……まあ、だいぶ手遅れだと思いますけど」
ほんと、手遅れだよ。
虎鉄とバクと知り合う前の自分を思い返しても靄が掛かって、戻りたいと思えなくなっちゃったじゃない。



