「藤馬さん……」
「傷の舐め合いでもしてろバカどもが、唾液が枯れてもまだまだ傷はあるぜぇ。なんせどちらとも罪を作りたがって自傷する阿呆んだらだからなぁ」
帰るのか藤馬さんが僕から視線を外すが、厚焼き玉子を見つけるなり一つ摘まんで口にいれていた。
咀嚼しながら開けたままの襖に足を進める。このまま去るのは明白で、五十鈴さんは「二度と来るな、阿呆んだら!」と叫んでいたが。
「藤馬さんも、僕の家族なんですよ」
言った瞬間に、藤馬さんが襖に頭をぶつけた。
がんっと結構いい音がしても、黒くて固い縁の部分なので襖は破れずに済んだ。
「てめえはまだ言うかっ!ありえねえっ、どーして今までのことあってもんなこと言えるわけ!怖いもの知らずか、てめえは!」


