「ね、それってさ。こないだの彼じゃないの?!」
「違うよ。快斗も手紙のこと知ってるもん」
目を輝かせて身を乗り出す様にしてそういうありさを晶は即答で否定する。
「それに、快斗の字にも思えなかったし」
「・・・」
「なに?」
すっかり食べることは二の次で、手からはフォークも離れていた。
思い出せば出すほど、考えれば考えるほど、真相はわからない。
だけどそんな晶をありさは何かに気付いたように無言で視線を向けている。
「晶、それ貰った時快斗くんかなって思ったりしたの?」
「・・・え?」
「それって・・・」
「ち、違うよ!たまたま!隣にっ…身近な、男の子だったから…!」
ありさはそれ以上なにも言うことはしなかった。
だけど晶は必死に言い訳を考えてもどれもしっくりこなくて、記憶と心の奥底にある感情に気付きそうな気がした。
けれどそれを突き止めようとすることをせずに、話題を変えて食事を済ませた。



