「いつかの大晦日みたいだな」 ぽつりと言ったその快斗の一言は夜の冷ややかな風の音にかき消されて、晶にははっきりと届かなかった。 「え?なんかいった?」 「・・・寒そうだから早く行け」 言葉だけでなく、手の甲で“行け”と合図されて晶は部屋に入り、窓に手を添え快斗を見た。 快斗は晶が窓を閉めたのを確認すると、背を向けてそのまま暗い部屋へと消えて行った。 「『いつかの』…なんて言ったの…?」 晶は窓の外を眺めながら呟いた。