大晦日のこの中途半端な時間のバスはガラガラだ。
俺と晶はバスに乗り込むと、二人がけなのにも関わらず、隣同志に座ることをしなかった。
斜め前に晶が見える位置に俺は腰を下ろした。
発車してからも、しばらくお互いになにも口にはしなくて。
暗い窓に映る晶の顔をちょっと盗み見る。
はっきりとは見えないけど、寝てはないようだ。
晶を斜め後ろから見てみると、何か考えながらなのか、外の景色をぼんやり見ているようだった。
「…快斗、なんであそこにいたの?」
晶は頭を動かすことなく、突然ぽつりとそう聞いた。
「―――たまたま。佐伯たちと、ゲーセンで遊んでた、帰り…」
さらっと嘘をついた俺。
どれだけ嘘を重ねるんだろう。
「…ふぅん…」
晶はやっぱりそのままで短く答えると、もう俺達の降りる停留所につく直前で、晶はブザーに手を伸ばした。



