雪が降る町~追憶のletter~


俺が晶の元へと走りだそうとした時に、晶に一人の男がぶつかったのに気付いた。


晶!!


俺はこんな時間に女が一人でいる不安を今更感じて心で叫んだ。
でもそのあとの流れを少し離れた所から見ると、本当にただぶつかっただけだったようで、男が晶に謝っている雰囲気がとれて、ほっと息を吐いた。

でも、その後―――。

その男は晶の頭に積もった雪を払って上げていたのを見て、俺はココアを握りしめた。

すぐにでも割って入りたいはずの気持ちなのに足が動かない。

それから何か言葉をお互いに掛け合ったのち、晶がしゃがんで何かを拾い上げるとその男に差し出していた。

拾ったものが、はっきりとわからなかったけど、白い紙のようなもの――…。
まさか―――!

俺は晶があの男が手紙の主だと勘違いして、あの手紙を差し出しているのかと思って焦った。

だけど、その男は連れの人達に何やら声を掛けられて晶から離れて行った。


そんな見知らぬ男の背中を晶はただ見つめて立っていた。


違う。
そいつじゃない。
頼むから。何度でも謝るから。
だから俺の目の前で他の男(やつ)をそんな風に見ないでくれ―――。



「――――よぉ」