それから暫くして、晶が一度テレビ塔を見上げてた。
それに釣られて俺もテレビ等を見る。
午後7時半過ぎ。
晶は一体いつまでああしているのだろう。
それからずっと、晶はその場から離れることなく手紙の差出人を待ち続けていた。
俺の方が寒くなってきた…なんて、そんなこと思っちゃいけないことなのに。
晶は相変わらずポケットに手を入れたまま、たまに空を見上げてはまた周りを見ての繰り返し。
いつからか降り始めた白い雪が晶の頭に積もって行くのを見ていた。
待ち合わせ時間から3時間過ぎた午後10時過ぎには、俺のほうが色々と限界に来ていた。
なんで帰らないんだよ。
家の人にはなんて言ってきたんだよ。
怒ってないのかよ。
どうしてそんなに、真っ直ぐなんだよ―――。
痺れを切らした俺はその場から離れた。
晶はまだ動かない、帰らないとわかったから。
それから、ずっと立っていた位置に小走りで戻る。
手には温かいココア。
その温もりは寒空の下ではすぐに冷えてしまいそうで、俺は包むように、その温かさを少しでも維持させるようにして持った。
―――もう、いいよ、晶。
本当に、ゴメン―――…。



