雪が降る町~追憶のletter~



それから3日後のこと。


「ねぇ、快斗」


珍しく晶から声を掛けて来て、一緒に下校することになった。
俺はそんな晶の行動の理由があの手紙だと確信すると、やけにどくどくと心音が速くなって落ち着かなかった。

多分昨日の夕方には着いていたはず。
だからその翌日の今日、俺に声を掛けてきたんだ。


俺はその高鳴る胸と、おそらく多少赤くなっているだろう顔を隠すように平静を装う努力をした。

学校を出てからの数分間は、ギュッギュッという俺たちの雪を踏む足音だけが響いていた。

その後も晶はなにも言いだそうとしないから、つい俺から口火を切ってしまう。


「晶から声掛けるなんて、珍しいな」
「え?うん…そう、かもね」
「……なんかの、相談…?」


我ながらしらじらしい。
晶にはもうあの俺の全てが詰まった手紙が届いているのだから無意味なのに。

そんなことを考えながら俺は自分の足元に視線を落としてただ歩いていた。

すると、気付けばさっきの足音が俺のだけだと気づいて足を止める。
視線は足元に向けたまま振り向くと、少し後ろに晶の茶色のブーツが視界に入って来た。
そのブーツからゆっくりと俺は上へ視線を上げた。


「…どうしよう、快斗…!」
「…は?」


おそらく寒さからだけじゃない紅潮させた頬の晶がまっすぐ俺をみて立ってた。
俺はそんな晶を見て戸惑った。