雪が降る町~追憶のletter~



俺はしたためた手紙をすぐに出すことが出来ずに1週間が過ぎていた。

切手を貼ってポストに投函しようか。それとも隣な訳だし、さっと直接郵便受けに入れようか…。

そんなくだらないことを考えて、そのまま俺の部屋の机の引き出しの中にそのまま白い封筒はしまわれたまま。


本当はやっぱりいざとなると怖かったんだ。

これを渡してしまったらもう本当に後戻りはできない。後は神のみぞ知る――という感じになるのだと。


俺は部屋のカーテンを少し開いて外を見た。

晶の部屋は灯かりが点いている。
その窓までの視界には、相変わらず白い雪。
その雪はどんどんと降り注いで少し前の距離の窓すらも見えづらくさせた。

俺はきゅっと口を結んで手にある手紙に視線を落とす。


一度は決めたことだ。
どうにでも、なれ――――。


俺はその降りしきる雪の夜道を、身を縮めてポケットに手を突っこんだまま近くのポストへと歩いて行った。

ポケットに入れていても素手ではすぐに冷えてつめたくなる。
だけど、不思議と手紙を掴んでいる方の手は熱かった。

ぼんやりと光るオレンジ色の街灯が足元を照らす。
ポストからの帰り道は、自分の来た時の足跡は綺麗に消えていた。