雪が降る町~追憶のletter~


「あぁ、雪だ」


誰かの声で俺も窓の外を見た。

ふわりふわりと舞い落ちる雪。
こんなすぐ溶ける柔らかそうな雪が、もうすぐ一面を真っ白に埋め尽くす。


15年。
小さい時はさすがに記憶ないけど。
でも15年、晶とこの町で、こうして冬を過ごした。

それは別に特別だとも思わなくて、“あたりまえ”の日常。


『普通科の――…』


晶の進路は知らなかったわけじゃない。
正直、ダサいけど、“晶がいるなら”って進学先を考えたこともある。
そんなこと親にも友達にも誰にも言ってないけど。

それでも、自分には気になって、やってみたいことがある。

それを選択すれば――――…


15年一緒にいたこの町と、晶と…離れることを意味する。


別に物凄く遠くに行く訳じゃない。
言っても同じ道内だ。

それでも15の俺にはそのちょっとの距離があまりに遠く、そして不安になる。


やっぱり晶は簡単に俺を忘れるんじゃないか―――。