「な、なんで…?」


晶が明らかに動揺したようにそう聞き返す。


「え?だって仲良いから!」
「あ…ああ…でも仲良いって言っても…」
「付き合ってるわけじゃないんでしょ?それは何回も聞いたけど!
でも結構晶ちゃん男子に人気あるけど桜井くんいるから遠慮してるんだよ~?晶ちゃんもてっきり好きなのかと…」
「そっ…そんなことないよ!!」


その一連の会話にドキドキとしながらも、最後の晶の全力の否定に何とも言えない気分になった。

俺が必要以上に今まで晶に構ってきたのは事実。

過去に何度か晶を見る男子の存在に気付いたりしたこともあったし、牽制する意味でそういう晶に近い存在を植え付けてきた。

我ながら卑怯だな、って思う。

そういうことだけ計算して、でも肝心な自分の気持ちは伝えられずに居るのだから。

それでも、少しでも優位に立っているような自分のその立場が嬉しくて。


「でももし桜井くんから告られたらどーする?」
「えぇっ…?それは…」


キーンコーンカーンコーン……

微妙なタイミングの時にチャイムが鳴った。

晶の答えを聞かずに済んだ…でも、本当はあの続きが聞きたいような気もする。

そんなもやもやとした思いを抱えたまま俺は教室へと戻って行った。