「―――――ねえ」

「ん?」

「この前のクリスタルって····どうして急に?特別な日でもないのに」


あの日急に贈られたプレゼント。

特別な日でもなんでもない贈り物を晶は未だに少しだけ、不思議に思っていた。


「····急じゃ、ない」

「え?」


快斗は握った手をそのままに立ち止まると、決して晶の方を見ずに言った。


「あれは···東京で見つけたやつ。晶にもう一度····って時に渡そうと前々から用意してたもんだ」


晶はただ目を丸くしてそれを聞いていた。

快斗の想いに少しも気がつかなかった。


「だから、あれを渡した時点で俺の特別な日なんだよ!」


語尾を強めに、敢えてぶっきらぼうに快斗は言った。
少し赤くなった顔を晶から背けて。


「····ふっ、ふふふ」


そんな快斗を見るのは25年のうち初めてのことで、晶はつい可笑しくて…嬉しくて顔が綻んだ。