雪が降る町~追憶のletter~



「真田さん、晶の昔の恋を忘れさせてくれますかぁ?」


数時間後、ありさが酒の力を発揮して···晶の頭を痛くする言動オンパレードを披露する。


「昔の?」
「そうです!昔の!!」
「ちょっと!!ありさ!飲みすぎだよ!」


真田にするととても興味深い話で、食いつくのはごく普通の反応だ。
晶は毎回のように自分のあの話をネタにされていることにちょっとした怒りも混ざりながらも、いつもありさを窘める羽目になる。


「晶は、中学のときの人が忘れられないんですよ!」
「中学、ねぇ。それってもしかして···桜井くん?」
「ちっ違いますよ!もう!真田さんも酔っ払いの言うこと本気にしなくていいですから!」


どこまでもゴ-イングマイウェイというものなのか、ありさの自由気ままな性格に晶は振り回されて一人恥ずかしい思いをする。
懸命に話を終わらせようとしていても、ありさのしつこさと真田のそれなりの興味本位がなかなか終止符を打たせてくれない。