青年は、今日も一人で鈴をつくっていました。



誰に見せるわけでも無く、誰に聞かせるわけでも無く、ただ押し黙り、鈴をつくっていました。






 青年は一度も窓を開けなかったので、工房はとても暗く、昼か夜かも分かりません。


部屋の四隅には、もうずいぶん長生きの闇が溜まっていました。





 床には、青年のつくった沢山の丸い鈴が転がっています。



けれど、鈴が音を出すのはたった一度だけです。出来上がり、青年に放り投げられたときだけなのです。


弱々しい産声を上げたきり、鈴はしんと黙り込んでしまいます。







 青年はもう自分が何歳なのか分からなくなるくらい、そうやって暮らしてきました。