かたん、とペンケースのなかに、ペンを落とす。

ザッとファイルと教材を纏めて、がっくりとした布バックに押し込んだ。

ちらりと、まだ机に向かってノートを取っている高遠の背中に視線を流し、文佳は立ち上がった。

こそこそと、教室から退却。
ドアのノブに触れることまでは、成功。

「フミさん! 待って!」

投げられた声に、正直、びくついた。

振り向けば、机にまだしがみついた高遠が、ぶんぶんと、手を振っている。

仕方なく、だけど『仕方なく』なんて思われないスピードで、文佳はゆっくり足を戻した。