そのかべどんだって、直後の様子を見ると彼方が喧嘩でも売ったようにしか見えないんだけど……。



「俺、かべどんよりカツ丼食いてえ」



「黙りなさい」
 


一瞬だってこっちを見ずに言い捨てられた。
 


彼方が先に離れ、桐さんはいきり立った様子で体育館に向かった。
 


……早くあいつも、恋理だけを護ればいいって思ってくれたらいいのに。
 


数時間の差は、俺にはない責任感も、彼方に生まれさせてしまったようだ。