「だから、な」 トンッ――と、一瞬で距離を詰められて、壁に背中を押し付けられていた。 そして頭の脇には彼方さんの腕がある。 「この位置だけは誰にも譲らねー。安里にもな」 鋭い目つきで睨まれた。 ……上等。 「それは宣戦布告でしょうか、彼方さん」 「そうだな。そう取ってもらっていい」 「了承しました。では、私は友達として恋理ちゃんを、氷室君が言うところの師匠として氷室くんを護ります。あなたの位置は侵さないが、私の位置は私が決める」 「………」