「晃くんが傍にいるのを許したのが識輝ちゃんだけだったから、私は識輝ちゃんになりたかった。 明るい性格。活動的な手足。天真爛漫な笑顔。屈託のない指先。 何も否定せずに一度は受け容れて、自分の中で良し悪し、可不可の判をおす。そういう人になろうとして、今の私になった。 髪がずっと短いのも、識輝ちゃんに憧れてだった。 ……でも私の駄目なとこは、識輝ちゃんに憧れた、だけで理由が終わらないところだった」 大きく息を吸って、気持ちを整えるみたいに。