桐華ー天然ボケ男が学園の王子様(女子)に恋しちゃったら【完】



「……晃くん? 何が……?」



「私のことを、見てほしいと思う相手が」
 


するっと、それまで俺が握っていた桐華ちゃんの腕が逃げた。



束縛する俺の力がなくなったからか……無理に逃げられたわけではないので、緩んだ隙を突かれたみたいだ。
 


桐さんはくるりと俺に向き直った。



出逢った頃より少しだけ、伸びた髪が合わせて揺れる。





「今まで、全部晃くんのためだったんだ」
 


懺悔のように顔を歪めて、桐さんは話し出した。