『私ね』
 


桐さんは、



『本当は、桐華(きりか)っていうんだ』
 


そう言った。
 


言葉するのも苦しそうに、でも言わなければいけないことみたいに、続けた。



『彼方さんにはばれちゃってたんだけど、本名は『桐』に、豪華の方の『華』で『桐華』っていうんだ』
 


なんでそう名乗らないの?
 


俺はそんな風に返した。