「俺はどうかなー」 はぐらかして笑うと、恋理さんはむすっとしてしまった。 いや、違うんだよ恋理。 俺は、俺こそが――彼方と恋理から離れるべきなんだ。 自分の足で歩く場所が、たとえ数センチしか離れていない場所だったとしても。 もう二人とは手を繋いではいられない。 そんな気がするんだ。 ……桐さんという目標がある今、たぶん俺は、いい機会。 ……チャンス?