「てか、なんで彼方さんがいるんですか」 私の前にいるのは氷室くんではなくて、腹黒、もとい、彼方さんだった。 前みたいに椅子に陣取ってる。 「ひむと約束したんだろ? 俺がついていくのは至極当然だ」 「発想が怖いです」 「冗談に決まってんだろ。恋理が行くっていうから先回りしたんだよ」 「なんで一緒に来るじゃなくて先回りすんですか」 言い返すと、彼方さんが椅子から立ちあがたって、私は反射的に構えてしまった。 手にしたボールが私と彼方さんの境界を作る。