「お前、なんで本名隠してるわけ?」



「………なんですか、藪から棒に」
 


部活も休日の今日、公園で氷室くんとバスケをする約束をした。
 


恋理ちゃんにどうしたらいいのかわからないと嘆いた氷室くんは、「でも、出来たらまたボールには触ってほしい」という答えを見つけた。
 


ただこれは、氷室くんの中にずっとあった思いだそうで、本人は「まだ答えじゃない」と言っていた。
 


それでも、一歩――の半分でも、進めたんじゃないかな。
 


そんな、やっぱり穏やかな氷室くんと約束をしていた。


……はずなんだけど。