「氷室くんの傍にいるのは、私が楽しいからな」
 


この一瞬の自分は、幸せだって思えるくらいなんだ。
 


握られた手を、氷室くんは顔の前に持ち上げて額をくっつけた。



「ありがとう」



「うん」
 



恋理ちゃんのことを、どうも出来ないのは私も同じで。
 


夏香ちゃんたちは励ますことが出来た。
 


氷室くんは応援出来る。
 


けれど、私自身はまだ何もしていない。




……なにも……。