桐華ー天然ボケ男が学園の王子様(女子)に恋しちゃったら【完】



「え……? どうした?」
 


氷室くんはふつりと俯いてしまった。



「説明丸投げにして、夏香ちゃんに悪かったと思ってる。でも、……俺と彼方は――俺は、恋理を赦せないでいるから。……落ち着いて説明も、出来なかったと思うから」
 


声は弱弱しい。



私は氷室くんに距離を近づけた。



「ゆるせないって、何を?」
 


手を伸ばせば前髪に触れる。

表情を見ることも出来る距離。
 


氷室くんは更に俯いた。



「……逃げた恋理を、ゆるせないでいる」