そう言おうとした。 ……でも、不意に見上げてきた桐さんの瞳に呑まれたように言葉は消えた。 大事にしたい。 この人を。 「……戻ろっか」 「……うん」 桐さんの頭に廻したままだった腕を解いて、手を取って立ち上がらせる。 ……一緒に会議室を出た。 昼休み。 桐さんは、俺たちの過去を一つ知ることになった。