何も言えないでいると、桐さんは同じ口調で続けた。 「……だから、いくら識輝ちゃんになろうとしたって、無意味だった……。ばかだね」 「でもさ」 それは自嘲が過ぎるよ、桐さん。 「その結果の桐さん、カッコいいよ。あんなにみんなの応援受けられるくらいになったんだから、成功ってか、よかったんじゃない?」 俺が言うと、少し上向いて顔が見えた。 「……えと……そう、かな?」 「うん。言っても、俺はどんな桐さんでもすきになる自信はあるけど」