私は天井に上ってゆく煙をぼんやり眺めながらテーブルの前に腰を下ろした。
ゴロンと寝転がると、自分から恵一の香りがした。
まるで母から男を奪ったような奇妙な気分だ。
私は思い立って、母の部屋に足を伸ばした。
例の通帳を手に取り、ページを繰る。
やはりそこにはしっかりと「塚原恵一」と印字されていた。
久しぶりに母が使っていたベッドに寝転がると、ひんやり冷たくて鳥肌が立つ。
今は生意気にも雄輔が使っている。
部屋にはあちらこちらに雄輔の私物。
私はもう一人でも大丈夫だからと追い出してしまおうか。
父だって、そろそろ一人では寂しいはずだ。



