それから私は二日ぶりに原チャリのエンジンをかけて、母の遺影が待つ自宅へと帰宅した。
恵一は
「シフトの時間までうちにいれば?」
なんて言っていたけれど、そういうわけにはいかない。
私には毎日欠かさずやらなければいけないことがあるのだ。
「ただいまー」
帰宅すると、返事はなかった。
雄輔は出掛けているらしい。
私は手も洗わずにリビングへ向かい、母の遺影に微笑みかける。
「ただいま、お母さん」
そして遺影の前に置いてある箱から線香を取り出して、ピンク色のライターで火を着けた。
そっと手を合わせ、目を閉じる。
母は無宗教だから、本当は線香も何もいらない。
だけど、何もしないというのは嫌だった。
仏様。
母は仏教徒ではないけれど、その広いお心で、彼女を成仏させてやってくれませんか。
という気持ちも込めて。



