やましいことがバレないか、気が気でない。
清く正しく生きてきた私は、悪いことなんてやり慣れていないのだ。
恵一は慣れた足取りでクローゼットへ向かい、左側の扉を開ける。
「ん?」
一瞬動きが止まるから、私の心臓まで止まりそうになった。
何か失敗した?
いや、そんなはずはない。
恵一は閉めたままの右の扉の方を少しいじって、すぐにあの場所に通帳を収めた。
もしかしたら、持ち出していた通帳に載っているのだろうか。
「じゃあ俺、仕込みに入るから」
「はい」
「帰るときは、声かけろ」
「わかりました」
恵一が再び下へ降りていく。



