仇恋アベンジャー


私は慌てて、でもちゃんと元通りに通帳をしまい、まるで何も見ていないかのようにクローゼットを閉める。

開くときはあんなに静かに開けたのに、焦って閉めた音は部屋中に響いた。

そして何食わぬ顔でソファーに座り、適当にテレビのチャンネルを変える。

大丈夫。

今のところ抜かりはない。

暫くして店の裏口が開く音がした。

トントントンと階段を昇るリズム。

そして

「ただいま」

「お帰りなさい」

私はちゃんと自然に返せただろうか。

動揺を悟られていないだろうか。