仇恋アベンジャー


ペラッ、ペラッと硬い紙をめくる。

金額には一切目をくれず、ひたすら松井紀子の文字を探した。

ペラッ、ペラッ。

おかしい。

ない。

どこにもない。

松井紀子の記載がどこにもない。

母は何年も前から塚原恵一に振り込みを続けていたのに。

結局一冊見終わっても母の名前は見当たらなかった。

焦って銀行の通帳も開く。

だけどそこにも母の名前はなかった。

個人的な振り込みすらどこにも見当たらなかった。

集中して通帳をめくり続けているうちに、外で物音がした。

恵一が帰ってきたのだ。