通帳は二種類あった。 一つは一般の銀行のもの。 恐らくこの店の運営資金などを管理する口座だ。 もう一つは個人名義の郵貯のもの。 恵一の名前があったのは母の郵貯口座の通帳だった。 だからこの通帳に「松井紀子」の名前があるはず。 緊張で手が震える。 真実を確認するときが来たのだ。 私は意を決して通帳を開いた。 パラッと軽く音がして、淡い縞模様のページが現れた。 そこに書かれている文字を丁寧に追っていく。 見るからにこの口座はあまり使われていないようだった。