泡にまみれた食器をすすぎ終えて、お湯の出る水道を止める。
テレビの静かな音に紛れて別の方向から車のエンジン音が聞こえた。
カーテンを少しめくって曇った窓から恵一が出掛けていったことを確認。
カーテンから手を離すと身体中に血が巡り始める。
私はひとつ息を落として行動を開始した。
誰もいないのだから無意味だけど、出来るだけ物音を立てないように動く。
そしてクローゼットの前に立ち、ゆっくりその扉を開いた。
するとつい先程キッチンで見た光景が間近に広がる。
一応振り返って誰もいないことを再確認し、左端一番下の引き出しに手をかけた。



