私が知らない世界の話を聞いているうちに時間は過ぎていく。
今日はやけに客足が少ないと思っていたが、ふとその原因が判明した。
「なぁ、雪降ってねぇ?」
言われて窓から外を覗く。
すっかり暗くなった空から白い粒が落ちてきていた。
「ほんとだー」
帰り、大丈夫かな。
雪が降るとわかっていたら、肩の開いた服なんて着てこなかったのに。
「なぁ」
「はい」
「今日、泊まってけば?」
恵一は自然にさらりと、言い慣れた感じでそう言った。
「はい」
一呼吸置いて返事をする。
ということは、きっと、また。
恋人同士として濃密な時間を過ごすことになるわけで。
妙に照れ臭くて、彼の方を見れなかった。



