「そうですか?」
「そうだよ。知ってた? 肩って、胸とか脚が出てるよりドキッとするんだよ」
あーあ、やっぱり彼氏にするなら、匠先輩のような爽やかでキラキラしてて、愛想よく笑ってくれる人が良かったな。
カウンターで新しいブレンドコーヒーのセットをしながら、厨房をチラリ。
トントン包丁でリズムを刻む、愛想のない恵一の様子をうかがう。
初めての男がこの憎い男なのだと思ったら、私の初体験が虚しくなった。
そんなの今更だ。
仕方がない。
自分で選んだ道なのだ。
恵一がどう思っているかは知らないけれど、私たちは所詮仮面カップル。
少し肩を出したくらいで浮かれるなんて馬鹿馬鹿しい。
恵一に褒めてもらおうだなんて、私、どうかしてた。



