「いや、それなら良いんだけどさ。だけどそれで朝帰りって……」
「何よ、悪い?」
「悪いっていうか……良いのかよって思って」
「どういう意味?」
そう問いかけたが、雄輔が言いたいことは、わかってはいた。
でも、何のことだかわからないというスタンスでいないと、私の答えは成立しない。
「やることやってきたんだろ? 初めてだったんじゃないの?」
私は余裕ぶって答える。
「悪くなかったよ。これであいつのこと堂々と探れるし」
そしていつか弱味を握ったら、母のことを突き付けてやるんだ。
真実を聞き出して、母が振り込んだ金を取り戻してやるんだ。
名字が違うことが功を奏した。
彼は私が松井紀子の娘だとは気付いていない。
「はぁ……」
雄輔がため息をつく。



