それから約一年半が経過した。
私は勤め先の車を運転し、慣れたハンドルさばきでaomi cafeの駐車場へと停めた。
朝出てきたのとは違う扉から中へ入ると、
「いらっしゃいませ」
と明るい声に迎えられる。
「ああ、なんだ。姉ちゃんか」
態度の悪い店員にあからさまにがっかりされてしまった。
「悪かったな、私で」
「で? こんな時間にどうしたの? 仕事は?」
「仕事で来たんだよ。マスターいる?」
「いるいる。マスター!」
雄輔に呼ばれて出てきた大男。
先日30歳の誕生日を迎えたこの店の店主、塚原恵一は、スーツ姿の私を見るなり一瞬だけ穏やかに笑った。



