父親は恵一の入れたお茶を一口すすり、一息ついた。
「店の物件が新築なのは知ってるな?」
「ああ。……って、まさか」
「土地も建物も会社名義だがな。一部、松井さんが送金した金を使って建てたものだ」
話には聞いていた。
恵一のお父さんは不動産会社を営んでいると。
「おかしいと思ったんだ。いくら親父イチオシの掘り出しモノの物件だからって、家賃があんなに安いなんてな」
恵一は乗り出していた体を引き、深く深くため息をつく。
「家賃設定を安くしたのは、それで松井さんの気持ちをお前に還元できると思ったからだ。心配しなくても、会社の方でも採算は取れてる。残りはいずれ、10年20年経ったとき、改装費用にでもなればいいと思っていた」



