雰囲気がしんみりすると、父親は低めの声で話題を転換させる。
「大体の事情はわかった。それで、今日ここに来たのは……ただの新年の挨拶ではなさそうだね」
私と恵一は一度視線を合わせた。
こくりと頷き、背中を押してくれた。
「実は、私が恵一さんの存在を知ったのは、母の振り込み履歴でした」
「振り込み……か」
「母は毎月5万円ずつ、恵一さん名義の口座に振り込んでいました。初めは彼が母に貢いでいるんだと思い込んでいました」
「みつっ……恵一はそんなことさせないわよ!」
「もちろん、わかっています。でも当時の私はそれしか思い付かなくて」
それで頭に来て、色々探ってみたけれど。
恵一は真面目で素敵な人で、騙し返してやる筈が、今ではすっかり恋人同士。



