まず最初に口を開いたのはやはり父親だった。 「お嬢さん、お名前は?」 私はハッとしてまだ名乗っていなかったことに気付く。 「申し遅れました。七海由紀と言います」 「失礼だが、おいくつかな?」 「21です」 「学生さん?」 「はい。大学3年生です」 私はテーブルの下でギュッと手を握りしめる。 緊張で声が震えてしまわないように必死だ。 「恵一が世話になっているね」 「とんでもないです。私の方がお世話になりっぱなしです」 慌てて両手を振ると、父親は軽く声を上げて笑った。