まだ私が何者であるか認識できていないらしい。 このままバレないのが望ましいが、 そういうわけにもいかない。 「お久しぶりです。先日は、失礼しました」 そう言って深々と頭を下げる。 顔を上げると、彼女の表情はひきつっていた。 私を認識したらしい。 「どういう、ことかしら……恵一」 恵一は嫌悪を露にする母親をしっかり見据えた。 「俺の、彼女だよ」 私は再び頭を下げた。 「七海由紀と申します」 顔を上げても彼女の表情は変わらない。