恵一は私の足を気遣いながらスルスル服を剥いでゆく。 現れた擦り傷のかさぶたやギブスを撫で、 「俺のせいだよな」 と呟き、キスをした。 「違いますよ。私が信号無視したから」 恵一の手はそのうち別の場所に移動して、私を痛みとは正反対の世界へ誘う。 短い現実逃避。 このすごい世界がこんなにも身近にあるのだから、男女は危険だ。 母もきっとこの世界へと誘われ、恵一を身籠った。 温かくて幸せで気持ちの良い世界には誘惑がたくさんあるけれど、現実世界での痛みを知っている恵一は必ず避妊をする。